Global City Status 世界の都市と福岡の現在
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2021.03.31

Global City Status 世界の都市と福岡の現在

2020情報戦略室DATA Web
Global City Status 世界の中の,フクオカ・シティ
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福岡アジア都市研究所 情報戦略室では、福岡市のグローバルなポジションを把握するための国際都市比較データブックとして、『「第3極」の都市』を発行してきました。
『「第3極」の都市』は、福岡と類似性を有する都市~首都・経済首都ではなくメガシティでもない、高い生活の質が評価される都市~として、まず、バルセロナ(スペイン)、ミュンヘン(ドイツ)、メルボルン(オーストラリア)、バンクーバー(カナダ)、シアトル(米国)の5都市のベンチマークからスタートしました。
世界的な新型コロナウィルス感染の広がりで、人や経済の動きが大きく制約され、この「第3極」の都市群にも、福岡同様、新型コロナウィルスの影響は及んでいます。
2019年までとは異なる「第3極」の都市の現在の状況を紹介することで、よりリアルな福岡のポジション、各都市との違いなどの客観的な判断材料になるという視点で、「第3極」の都市を中心とした世界の各都市の2020年の最新データ、状況を紹介していきます。
公益財団法人福岡アジア都市研究所
情報戦略室 室長 畠山 尚久
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シリーズ03:文化芸術活動を支援する世界~不要不急から、なくてはならないものへ
[Mar 31, 2021] 
2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中に大きな影響を与えました。
本シリーズでは、これまで、福岡市を含む「『第3極』の都市」の、コロナ禍における人やモノの移動の変化を追ってきましたが、今回は、文化芸術、エンターテインメント分野の動向をみてみます。音楽や演劇、そのほかのさまざまな芸術活動は、コロナ禍で大きな制約を強いられました。表現の場や方法は、多くの人が集まることへの懸念から、規模の縮小や観客の人数制限など、本来とは異なる形に変化しました。オンラインでの発信など、新しいスタイルも広がりましたが、活動する人と鑑賞する人が直接触れ合う機会の多くは失われました。福岡市で失われた文化芸術活動機会
福岡市は、文化芸術を楽しむ環境が充実しており、市民の「文化芸術水準への満足度」は向上していましたが(図1)、コロナ禍は、福岡市の文化芸術活動にさまざまな影響をもたらしました。大規模な公演は中止や延期となったほか、市民が活動、鑑賞する中小規模の活動の場や機会も失われました。2020年、国の最初の緊急事態宣言が発出された期間中、福岡市内の文化芸術活動を行う練習場やホール、ライブハウスなど、活動の場は閉鎖され、宣言解除後も、収容人数や活動内容が制限された状態が、今も続いています。
コロナ禍による機会消失の一例として、福岡市祇園音楽・演劇練習場「ぽんプラザホール」での公演についてみると、2020年3月以降、中止や延期が相次ぎ、年間実施件数は2019年の41%にまで減少しました。(図2)

図1:福岡市民の芸術・文化水準への満足度
図1:福岡市民の芸術・文化水準への満足度
図2:福岡市祇園音楽・演劇練習場「ぽんプラザホール」の公演件数(2019年・2020年)
図2:福岡市祇園音楽・演劇練習場「ぽんプラザホール」の公演件数(2019年・2020年)

福岡市独自の文化芸術活動支援策
こうした事態を受け、福岡市は、最初の緊急事態宣言発出(4月7日福岡県等先行)されて間もない5月1日には、影響を受けた文化関連事業者等への独自の支援策を打ち出し、その後も段階的に支援を充実しました。ウェブサイトを開設し、支援対象の施設やアーティスト、作品を紹介している支援事業もあります。(図3)
これら福岡市独自の支援策は、福岡市が文化芸術やエンターテインメント活動の支援や関連する産業の振興に力を入れていることの表れともいえます。

図3:2020年コロナ禍における福岡市の主な文化支援策と対象の紹介
図3:2020年コロナ禍における福岡市の主な文化支援策と対象の紹介

福岡市 文化・エンターテインメント施設 LIVE配信マップ https://www.city.fukuoka.lg.jp/livemap/
FUKUOKA STAGE https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/contents/charm/fukuoka_stage.html
FUKUOKA STREET LIVEhttps://fukuokastreetlive.com/

「『第3極』の都市」の動向
「『第3極』の都市」でも、以下のような支援策がみられます。(図4)
図4:コロナ禍における「『第3極』の都市」の主な文化支援策
図4:コロナ禍における「『第3極』の都市」の主な文化支援策

コロナ禍で、不要不急の外出やさまざまな活動の自粛が強いられるなか、文化芸術活動が不要不急とみられることもありますが、福岡市をはじめ、世界の各都市がこれだけ文化芸術活動の支援に力を入れていることは、音楽をはじめ、人々の心を豊かにする文化芸術、エンターテインメントは決して不要なものなどではなく、むしろこういう時期にこそ必要なものと、多くの人が感じたからかもしれません。

特に、シアトル市が「文化に特化した」不動産投資開発機構を設立したことは、デジタル化が進み、場所を問わず作品を発表できるようになった将来における、都市としての価値を問いかけているように感じられます。福岡市でも天神地区や博多地区で再開発が進んでいますが、文化的な活動の場、芸術家や市民が気軽に交流できる場の創出が期待されます。

情報戦略室 山田美里
畠山尚久


参照サイト [accessed 2021 Mar 29]
≪バルセロナ≫
●芸術的創造を支援する助成制度https://www.barcelona.cat/barcelonacultura/ca/linia-de-cultura-suport-la-creacio-artistica
●美術界向けの特別支援プログラムhttps://www.barcelona.cat/barcelonacultura/es/suportcultura/convocatoria-de-ayudas-extraordinarias-al-arte-contemporaneo
●市民を巻き込んだ文化芸術産業支援策https://www.bonuscultura.com/barcelona(2020年7月8日)
≪ミュンヘン≫
●ミュンヘンを州都とするバイエルン州政府によるアーティスト救済プログラム
https://www.muenchen.de/aktuell/2020-04/corona-bayern-zahlt-kuenstlern-1000-euro-monat.html(2020年4月21日)
https://www.stmwk.bayern.de/allgemein/meldung/6579/neue-hilfsprogramme-fuer-kunst-und-kulturschaffende-in-bayern.html(2020年10月27日)
≪メルボルン≫
●芸術家への助成制度
https://www.melbourne.vic.gov.au/arts-and-culture/strategies-support/funding/Pages/assistance-creatives-covid-19.aspx
≪バンクーバー≫
●文化芸術界への救済策
https://www.straight.com/arts/vancouver-to-provide-arts-and-cultural-organizations-with-2-million-in-covid-19-support-funding(2020年11月24日)
https://vancouver.ca/doing-business/cultural-impact-critical-assistance-grants.aspx
≪シアトル≫
●文化芸術復興パッケージ
https://durkan.seattle.gov/2020/03/mayor-durkan-announces-initial-1-1-million-arts-recovery-package-to-support-creative-workers-and-arts-and-cultural-organizations-impacted-by-covid-19/(2020年3月17日)
●米国内初の文化に特化した不動産投資公社の設立
https://artbeat.seattle.gov/2020/12/15/mayor-durkan-signs-cultural-space-agency-charter-to-create-first-public-development-authority-in-nearly-40-years/(2020年12月15日)
https://crosscut.com/culture/2020/11/city-launches-real-estate-company-save-and-create-seattle-art-spaces(2020年11月9日)
https://www.capitolhillseattle.com/2020/12/cultural-space-agencys-mission-create-and-preserve-arts-venues-in-expensive-seattle-and-even-more-expensive-capitol-hill/(2020年12月17日)
https://southseattleemerald.com/2020/12/15/seattles-office-of-arts-culture-launches-cultural-pda-to-preserve-cultural-space-and-strengthen-communities-of-color/(2020年12月15日)


シリーズ02:人流と物流・2020年の変化
[Feb 19, 2021] 

「人流」(人の移動)と「物流」について、前回は2020年の夏頃(7、8月)までの状況を、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける前の2019年との比較からみました。今回は、2020年末(11、12月)までの状況をみてみます。

ロックダウン(都市封鎖)の実施・解除の影響

メルボルンを除き、福岡を含む5つの「第3極」の都市では2020年4月を底に、人の動きが徐々に回復してきました。メルボルンの底は8月から10月にかけてですが、これは、オーストラリアの感染拡大第2波の中心がメルボルンの属するビクトリア州であったため、7月から10月末頃まで、人の移動を厳しく制限するロックダウン(都市封鎖)が実施されたことが影響しています(*1)。ミュンヘンとバルセロナでは、夏以降回復傾向がみられましたが、その後欧州での感染者が急増し、一旦緩和がみられた各国の外出制限措置が改めて強化された影響で、空路での移動数は再び減少しています。
*1: BBC. Available from, https://www.bbc.com/news/world-australia-54686812 [accessed 2021 Feb 10]

「人」の動き:旅客数前年同月比較
各都市空港旅客数前年同月比割合

福岡空港の国内旅客数は前年比6割まで回復

昨年7月下旬から開始された政府の観光支援策「Go To トラベル」は現在停止されていますが、10月からは旅行代金の割引補助に加え、旅行先での飲食や買い物に利用できるクーポン券の発行が行われ始め、移動をする人が増えました。福岡空港の国内・国際線の合計旅客数は、依然として前年の半分に満たない状況ですが、国内線だけをみると昨年4月以降最も多い11月には前年の6割まで回復したことがわかります。
福岡と同様にもともと国内線のウエイトの大きいシアトルも、前年比3割程度まで回復した状態が夏以降12月まで継続しています。

福岡福岡空港旅客数前年同月比較 バルセロナバルセロナ・エル・プラット空港旅客数前年同月比較
ミュンヘンミュンヘン国際空港旅客数前年同月比較 メルボルンメルボルン空港旅客数前年同月比較
バンクーバーバンクーバー国際空港旅客数前年同月比較 シアトルシアトル・タコマ空港旅客数前年同月比較

モノの動きは依然活発

前回、国・地域を越えた人の移動が大きく減少したのに対し、モノの移動(物流)は人の移動ほどは影響を受けていないことをお伝えしました。その状況は夏以降も変わっておらず、博多港の輸出入コンテナ量(TEU)は、前年比9割前後の水準で11月まで推移しています。その他の「第3極」の都市は、秋以降、前年比プラスの月が多くみられます。
一方、航空貨物取扱量は、空港によっては大きく減少したところもみられますが、シアトルは秋以降前年比プラスとなっています。

モノの動き:港湾・空港貨物取扱量前年同月比較
各都市港湾貨物取扱量(輸出入・TEU)前年同月比割合(%)
各都市港湾貨物取扱量(輸出入・TEU)前年同月比割合(%)

各都市空港貨物取扱量(輸出入・t)前年同月比割合(%)
各都市空港貨物取扱量(輸出入・t)前年同月比割合(%)

各都市の港の、輸出入別貨物取扱量の変化をみてみると、バンクーバー、シアトルで輸入が輸出を大きく上回り、バンクーバーでは前年比140%を、シアトルでは前年比120%を超えた月があります。

シアトル港の運営・開発を行う「ザ・ノースウエスト・シーポート・アライアンス」は、港湾月報(*2)の発表に際し、年末のホリデーシーズンへ向けて小売り業者が在庫を確保しようと輸入を増やしたことが2020年9月(およびそれ以降)の輸入増の要因であると説明しています。

また、バンクーバーの地元新聞紙「バンクーバー・サン」のオンライン記事(*3)は、世界の国々に先駆けて中国の製造業が活動を再開したため、一時停滞していた輸入が増加している状況を伝えています。同紙が調査した貨物統計によると、2020年8月から年末までの期間の輸入コンテナ数は2019年の同時期と比較し17%増加し、同期間中に輸入コンテナが空のまま送り返された数は前年同時期と比較し26%増加したそうです。海運事業者が、中国からの出荷需要に応えるために、バンクーバー港での荷下ろし後すぐに引き返そうとするため、バンクーバー港からの荷積みが予定通りに進まない状況が伝えられています。

*2: The Northwest Seaport Alliance. Available from, https://www.nwseaportalliance.com/newsroom/nwsa-handles-308682-teus-september-highest-monthly-volume-year [accessed 2021 Feb 10]
*3: Vancouver Sun. Available from, https://vancouversun.com/news/local-news/b-c-exporters-caught-in-container-squeeze-by-booming-covid-19-recovery-across-pacific [accessed 2021 Feb 10]

福岡(輸出)博多港コンテナ取扱量前年同月比較(輸出) 福岡(輸入)博多港コンテナ取扱量前年同月比較(輸入)
バルセロナ(輸出)バルセロナ港貨物量輸出 バルセロナ(輸入)バルセロナ港貨物量輸入
メルボルン(輸出)メルボルン港貨物量輸出 メルボルン(輸入)メルボルン港貨物量輸入
バンクーバー(輸出)バンクーバー港貨物量輸出 バンクーバー(輸入)バンクーバー港貨物量輸入
シアトル(輸出)シアトル・タコマ港貨物量輸出 シアトル(輸入)シアトル・タコマ港貨物量輸入

福岡市の状況
博多港:ゴムの輸出が減少

博多港のモノの動きに変化があるかどうか、財務省貿易統計から輸出概況品累計金額(※2020年12月調査時点では10月までのデータが公開されていたため、1~10月期累計)の2020年前年比(図20)をみてみます。増減額、増減率の両方において減少している概況品は「原料別製品」です。「原料別製品」の内訳(図21)は、「革及び同製品・毛皮」「ゴム製品」「木製品及びコルク製品(除家具)」「紙類及び同製品」「織物用糸及び繊維製品」「非金属鉱物製品」「鉄鋼」「非鉄金属」「金属製品」です。輸出累計金額の前年比増減額、増減率をみてみると、「鉄鋼」と「ゴム製品」が減少していることが分かり、特に「ゴム製品」の輸出累計金額が著しく減少しています。

図20:博多港輸出概況品累計金額(1~10月期累計、2020年・2019年比較)
博多港輸出概況品累計金額(1~10月期累計、2020年・2019年比較)
図21:博多港「原料別製品」内訳輸出累計金額(1~10月期累計、2020年・2019年比較)
博多港「原料別製品」内訳輸出累計金額(1~10月期累計、2020年・2019年比較)

図22:博多港「自動車用タイヤ及びチューブ」輸出数量・前年同月比較(2019年・2020年)
博多港「自動車用タイヤ及びチューブ」輸出数量・前年同月比較(2019年・2020年)
世界最大手のタイヤメーカーである株式会社ブリヂストンは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって世界的に自動車生産工場が一時停止されタイヤの需要が減少したことや市場環境の変化を鑑み、2020年4月末から6月にかけて久留米工場を含む国内の複数のタイヤ工場での生産を一時停止していました(*4)。博多港はタイヤの輸出港として利用されているため、この時期に輸出量が減少したことが前年同月比較のグラフ(図22)からも分かります。輸出量はその後、8月から回復の兆しが見られるようになり、12月には前年比91.9%とほぼ前年並みまで回復しています。
*4: 日本経済新聞. Available from, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59337430Q0A520C2XA0000/[accessed 2021 Feb 10] 2020 May 20.

[補足資料]
「原料別製品」内訳輸出累計金額の推移
「鉄鋼」・「ゴム製品」輸出累計数量の推移
「ゴム製品」内訳累計数量・金額の推移

情報戦略室 山田美里

シリーズ01:人流と物流の現在
[Oct 28, 2020] 

今回は、「人流」(人の移動)と「物流」について、影響を受ける前の2019年との比較からみた現状をみてみます。

世界中で、人の動きが止まった

「インバウンド対応」「過去最高の訪日外国人」・・こうした言葉が踊った2019年から、2020年は、状況が一変しました。世界中で新型コロナウィルスの感染が拡大し、各国・地域は移動を制限し、特に、国境を越える移動は困難となり、海外居住の日本人の帰国さえ難しい状況となりました。
福岡市を含む「第3極」の都市も例外ではありません。月別の空港を利用した人の出入りの数は大きく減少しました。感染者数や各国・地域の政策判断などにより、人の往来の回復状況は異なりますが、全ての都市において、程度の差こそあれ、依然として厳しい状況は続いています。

「人」の動き:旅客数等前年同月比較
各都市空港旅客数前年同月比割合

福岡空港の国内旅客数はやや回復

福岡空港旅客数は、感染の確認、拡大により一部海外渡航自粛要請が発出し始めた2月以降急速に減少し、4月、5月に底を迎えた際は、前年比1割未満というかつてない状況でした。その後、国内移動が徐々に回復したものの、前年比では3割未満の水準にとどまるほか、依然として海外とはほとんど往来のない状況が続いています。
「第3極」の各都市の空港は、いずれも旅客数を大きく減らしており、前年比1~3%台など福岡市よりさらに深刻な状況であったことがわかります。依然として深刻な状況が続くメルボルンを除き、各都市とも緩やかながら回復傾向にあり、福岡市は比較的その度合は早くなっています。もともと国内線のウエイトが大きかったことも要因の1つと考えられます。
一方で、シアトルも、国内線中心の空港のため、4月に底を打って以降は、旅客数は回復基調が続き、前年比3割程度まで回復しています。

福岡福岡空港旅客数前年同月比較 バルセロナバルセロナ・エル・プラット空港旅客数前年同月比較
ミュンヘンミュンヘン国際空港旅客数前年同月比較 メルボルンメルボルン空港旅客数前年同月比較
バンクーバーバンクーバー国際空港旅客数前年同月比較 シアトルシアトル・タコマ空港旅客数前年同月比較

モノの動きは止まらない

人の動き、特に国・地域を越えた移動の数が大きく減少したのに対し、モノの移動=物流は人の移動ほどは影響を受けていません。一部停滞はあるものの、特に海運は、直接的な影響は、データ上では少なく、博多港でも輸出入コンテナ取扱量(TEU)は、前年比9割前後の水準で推移しています。その他「第3極」の都市も、大きな影響はみられず、前年比プラスの月さえあります。
一方、航空貨物取扱量は、空港によっては大きく減少したところもみられます。

モノの動き:港湾・空港貨物取扱量前年同月比較
各都市港湾貨物取扱量(輸出入・TEU)前年同月比割合(%)
各都市港湾貨物取扱量(輸出入・TEU)前年同月比割合(%)

各都市空港貨物取扱量(輸出入・t)前年同月比割合(%)
各都市空港貨物取扱量(輸出入・t)前年同月比割合(%)

福岡市・博多港は前年比9割程度で安定 福岡空港はフライト減の影響

港湾コンテナ取扱量は、博多港は、前年比でやや減少したものの、8~9割程度の水準を維持しています。一方、海外「第3極」都市の港湾は、人の移動では福岡市より深刻な都市でも、コンテナ取扱量は大きな減少は見られず、前年比プラス水準で推移している月もあり、人の移動とモノの移動は異なる様相を呈していることがわかります。
航空貨物取扱量は、統計を公表している都市(空港)では、福岡空港やミュンヘン国際空港などは、人の移動ほどではないものの大きな減少を見せており、貨客混合の旅客機のフライト減の影響により貨物の取扱量が減ったことが要因の1つとみられます。シアトル・タコマ国際空港は、前年水準を維持していますが、国内線が多いことや人の移動制限の影響を受けない貨物専用機の運航が多いことなどが要因と考えられます。

福岡(輸出)博多港コンテナ取扱量前年同月比較(輸出) 福岡(輸入)博多港コンテナ取扱量前年同月比較(輸出)
バルセロナ(輸出)バルセロナ港貨物量輸出 バルセロナ(輸入)バルセロナ港貨物量輸入
メルボルン(輸出)メルボルン港貨物量輸出 メルボルン(輸入)メルボルン港貨物量輸入
バンクーバー(輸出)バンクーバー港貨物量輸出 バンクーバー(輸入)バンクーバー港貨物量輸入
シアトル(輸出)シアトル・タコマ港貨物量輸出 シアトル(輸入)シアトル・タコマ港貨物量輸入

福岡市をはじめ、これまでベンチマークとしてきた「第3極」の都市も、新型コロナウィルスの感染が拡大し、人の活動は大きな影響を受けています。感染状況やその対応は都市により異なりますが、今後感染が収束した後も、さまざまな面での変化を強いられ、これまで比較してきた指標にも影響が及んでくると考えられます。
一方で、人の移動は減少してもモノは動き続けており、経済活動は人の移動の変化に関わらず、依然として継続していることがわかります。新しい人との関わり方やモノの動き、国際的なネットワークのあり方などを模索しながら、この期間に経験した変化への対応を、収束後の社会での進化に結び付けるよう試行錯誤しながら、今を乗り越えていくことが求められます。

情報戦略室 畠山尚久
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